ひとり あっとこすめ

忘れっぽいので自分で自分に評価・評判・感想を口コミ???

日本企業のコーポレート・ガバナンスを問う

今日、はてな市民になりましたというメールが届いていて、?と思ったのですが、はてな市民って30日利用してないと失効してしまうのですね。初めて知りました。



私は先月まで、このはてなダイアリーをしばらくお休みしていました。何となく書く目的が分からなくなってしまって、別に私の意見なんか書く必要ないのではないか、というか、もう少し詳しく書くと、この時期にちょうど引越ししてあまりにも大量に買い物をしたので、これら全部を書きとめようとしたら大変なことになってしまう、それだったら他に優先してやることあるだろ、的な気持ちになってしまっていました。



でも、その後に、何年も前に読んだ「日本企業のコーポレート・ガバナンスを問う(モバイルサイトはこちら)」をもう一度読んだことと、イギリスに行かせてもらったことがきっかけとなって、やはりもう一度書いてみようという気になりました。




この2つのきっかけに気づかされたことは、「監査」とか「監視」とかという概念が、今という今、まさにすごく大事になってきているのかもしれない、ということでした。



新日鉄名誉会長で元経団連会長の今井敬さんの言葉を本から引用しますが

■自分の心に自信のない人は

 私はコーポレート・ガバナンスはきわめて大事だと考えています。昔のように間接金融の時代は、さきほど言ったように、銀行からみんな監視されていたわけですから、企業は非常な制約を受けていました。だけれども、直接金融になってくるとそういうことではなくなるわけだから、そこでアメリカも結局、株主というのだけれども、アメリカの社外取締役というのは株主の代表でも何でもないのですよ。株主から選ばれるのではないのだから、経営者がノミネートして選ぶのだから。
 ただし、一度社外取締役になった以上は、今度は株主なり世の中のことを考えて動かないと自分たちが糾弾されるわけです。だから、CEOが選ばれたかもしれないけれども、いざというときにはCEOの逆に回ることもあり得るので、これは社会の良識として機能しているわけです。では「そういったものは日本では何だ」ということは、よく考えていかなければいけないと思うのです。
 根本的には個人なのです。個人の心なのですよ。日本は社会の目がうるさいし、社会主義的な国ですから、アメリカのような必要性は薄い、と私は考えています。

今になってこの本を読んで思うのは、銀行は昔のような役割はしていないし、社会の目がうるさいかどうか、というところも結構微妙になってきているのではないか、ということです。社会の目をうるさくするというのは、結局、その社会を構成する個人の心が強くなければならないのだけど、そうはいられないようにしてしまっている、ある意味「余裕のない(お金もそうだし、もっと問題なのは、お金以外で豊かさを享受しづらい)」社会というのが形成されつつあるのではないか、と。個人の問題だけれども、全てが個人で解決できる状況ではないように思うのです。



だったらどうするか、ということなのですが、旧来的な概念でいうところの個人に頼れないなら、イギリス的にシステムで解決する(ある種パブリックなインフラを作る)、というところがあってもよいのではないかと思うのです。そのひとつの方法が、意見をみんなが書き込むブログだったりしたらいいな、と、ちょっとぴり妄想したりしています。そして、そのブログのありかたとしては、農耕民族的な日本人にとっては、普段の出来事をちょっとずつ書き留めていくという日記スタイルでもいいように思えます。



そして、それは、インターネットが作り出した功罪のうちの罪を自ら打ち消す功でもあると思うのです。



欲望を監視する社会の可能性というエントリーにも書かれているように、私たちの行動に内在する欲求は監視されていて、特にインターネット上では、今や監視されるだけにとどまらず、私たちに色々な形で還元されるシステムが少しずつ出来上がりつつあるように思います。(エントリーの中の言葉を借りるとすれば、それはビックシスターの仕業ということになると思うのですが...)そして、それはリアルな世界よりもずっと高速に進んでいくわけです。そのシステムから還元されるものは、必ずしも個人や社会にとって有益なものではないと思うのですが、そんなとき、私たちはそのシステム自体をまた監視してやらないといけないわけで、その監視にも、リアルな雑感を書き留めたブログが少しだけ役立つのではないかと思うのです。



そして、私はそんな思いを抱えたまま、イギリスから帰ってきて村上春樹さんの1Q84を読んで、ブログを再開しました。1Q84の話も監視の概念が深く関わっている話だと私は思っているのですが、1Q84に対する感想はそれはそれで話が長いので、次のエントリで書くことにします。



話は戻りますが、「日本企業のコーポレート・ガバナンスを問う」という本は、昔、はじめて読んだときにも心に残った本だったのですが、今読んでも、改めて色々と気づかせてくれる本だと思いました。
興銀(現みずほ銀行)の元頭取でいらっしゃった中村金夫さんを偲ぶ形でまとめられたこの本では、企業動向研究会という財界の会議、その中でも特に1994年に開催された舞浜会議の内容を軸として、雇用と株主価値の対立の問題(いわゆる「今井=宮内論争」)などに対する考え方を、それぞれの経営者が各会社での取り組み(そして苦悩)も含めて語っています。すごく軽い話にしてしまって恐縮なのですが、経営者の人はこういうこと考えながら経営しているのだというのを知るというのは、子どもがお父さんの仕事のことを知る、という感覚に近いものがありました。特に、はじめて読んだときは、まだ社会人になりたての頃だったので、親の心子知らず、みたいだな、と思った記憶があります。




   
*知ったきっかけ:大型書店の本棚で見つけた
*買ったきっかけ:立ち読みしてたら欲しくなった
*買った場所:大型書店(場所は忘れました)