ひとり あっとこすめ

忘れっぽいので自分で自分に評価・評判・感想を口コミ???

金融マーケット(金融工学)のおすすめ本(参考書)

昔はホームページにあげていたのですが、今はホームページを閉じてしまったのでこちらに載せることにします。ちなみに、いまさらもう一度載せようと思ったのは、今回、思い切って本を処分してしまって、何の本を持っていたか忘れてしまいそうだったので、メモをどこかに残しておきたいと思ったからです。



なお、ここにあげたのは、自習用の本たちです。実際にマーケットに携わっている人たちには不要かもしれません。しかし、たとえば、金融システムを作っていたりオペレーションだけに携わっていたりする人たちはある程度自習せざるを得ない状況下にあると思いますので、そういう人たちに対して少しでもお役に立てればと思います。



また、ここにあげた本以外にも、自習に役立つ本は色々あります。ただ、何かを読み始めようとするとき、選択肢がたくさんありすぎても選択しづらいと思いましたので、ここには、エントリー(とっかかり)的な意味合いでおすすめできるものを載せてみました。



ちなみに、おすすめ本は、アマゾンの新品には在庫がなかったり、というかそもそも絶版というのが多いみたいです。金融というのは、もちろん直近で起きていることを知ることも重要ですが、過去を知らずして先に進めないはずの領域なのに、歴史を知るための本が少なくなっているのは、本当に残念です。読みたい人は、アマゾンのマーケットプレイスで買うか、大きめの本屋さんや図書館で探すと良いと思います。


    • 金融工学とは何か―「リスク」から考える(モバイルリンクはこちら
      • この本は、いわゆる数式の解説本ではないので、金融工学の参考書としてあげるのは若干違和感があるかもしれません。でも、金融工学というものを勉強してみたいとか、もう少し深く考えてみたいとか、そういうことを思った局面には、まず最初に手にとってみて悪くない本だと思います。金融工学の解説書は山とありますが、この本のように、その意義や必要性をきちんと書いてくれている本は実はとても少ないです。この本を読むと、金融工学がその歴史の中で可能にしてきたことが良く分かり、一方で、金融工学の限界にも気づくことができて、今後私たちはそのことに対してどう対処していくべきなのかについて、ヒントがもらえる本だと思います。
    • 金利リスク管理―先物・オプション・スワップの活用戦略(モバイルリンクはこちら
      • ここから後ろはいわゆる数式解説本です。この本は、先物・オプション・スワップの現在価値(PV)やキャッシュフローの計算方法を学ぶのに役に立ちます。古い本ですが、仕組みを理解しやすい(自習しやすい)良書だと思います。この本を1冊読めば、その後は、自分に必要な参考書を本屋さんで自分で選択できるようになると思います。ちなみに、そういうときはリアルの本屋さんでないと難しい気がします。(インターネットには一覧性がないので。)幸いにして、金融の本は大型の本屋さんであればそれなりに揃っています。
    • 金融リスクの計量化〈上〉バリュー・アット・リスク(モバイルリンクはこちら
      • VaRやイールドカーブの計算の基礎を学ぶのに役に立ちます。別にVaRの担当ではなくても、金利リスクとかリスク全般の基本的な考え方を知るという意味で使える本だとは思います。上の本よりは、数式を理解するのが少し難しくなります。ちなみに、数式を違う側面から理解したり、数式の背景を知るという意味では、日銀(や、その金融研究所)のホームページを併読するとよいかと思います。
    • 金融リスクの計量化〈下〉クレジット・リスク(モバイルリンクはこちら
      • 上記の本の続き。こちらは、エクスポージャーや確率過程について、考え方や計算方法の基礎を学ぶのに役に立ちます。ちなみに、難易度は上よりも高いと思います。だいたい確率過程のあたりから文系にはいまいちついていけない状況になりがちです。それでも、数式を追っていけば何となくやっていることがわかるようには書いてくれているので、概要までではなくて数式まである程度理解したい人には、おすすめです。(逆に言えば、数式は100%どうでもいい人はこの本を読まなくてもいいとは思います。)
    • デリバティブキーワード333(モバイルリンクはこちら
      • デリバティブ(特にオプション、あとはスワップ)の主要なキーワードについてはほぼ網羅されているという貴重な一冊。複雑系オプション(エキゾチック・オプションなど)、オプションモデル(イン・ザ・マネーなど)、金利モデルなど。とりあえず分からない言葉がどこかで出てきたらまずはこれで調べてみるとだいたい載っているので重宝します。概念的な説明も比較的多く、あまり数式が分からなくてもある程度意味が分かるように書いてあるところも多いです。ただその反面、数式的な部分は粗いところもあるので、かなり深く知りたいときは上記や下記の本などで知識を補完する必要があります。あとは、どんどんパワーアップしていく(昔は333もなかったし、説明ももう少し分かりづらかった)のが、この本のすごいところです。
    • 金融工学・数理キーワード60(モバイルリンクはこちら
      • リスクに関する数理用語を数多く扱っています。ポアソン過程、ロジット/プロビットモデル、EMアルゴリズム、ブートストラップ、マルチンゲール、GARCHモデルなど、金融で使う確率統計用語がだいたい揃っています。(実は、金融以外でも使われている確率統計用語も多いので、別に金融に携わっていなくても、確率統計に携わっている人であれば十分便利な1冊であるような気がします。確率統計の本でコンパクトにまとまっているものは少ないので意外と重宝します。)そして、難しい言葉をかなり分かりやすく書き下してはくれてはいます。が、かなり限られたスペースの中で説明しきれていないところもたくさんあります。こちらの本も上の本と同じように、他の本で知識を補完する必要があると思います。
  • マーケットの取引とその経理の基礎
    • 金融・経済用語辞典(モバイルリンクはこちら
      • 広く浅く、言葉の意味を捉えるのに便利。項によっては、それなりに詳しい解説も載っています。最近はインターネット上で金融系の辞典が色々と出てきていますが、この辞典のように様々な取引を網羅しているものはなかなかないです。あとは、欧文索引があるのも助かります。
    • 東京マネー・マーケット 第7版(モバイルリンクはこちら
      • 短期金融市場取引の(唯一の)バイブル。取引の実務については、かなり網羅されています。ただ、市場制度はたまに変わるので、これと併用して、各取引所のサイトで知識を得ることも重要かと思います。ちなみに、短期金融市場というのは、住宅ローンに直接的に影響を及ぼす長プラなどと比べると、如何せん一般人には縁遠い感じではありますが、この市場の動向が金融業界全体(経済全体)に及ぼす影響というのは相当に大きいので、短期金融市場取引の担当でなくても、色々と知っていて損はない分野だとは思います。この本を読んだ後に、毎日、日経のマーケット総合面の無担保コール(O/N)などの数字を追ってみると、今までとは違った世界が見えてくる気がします。
    • 公社債の知識(モバイルリンクはこちら
      • 旧興銀(現みずほ)証券部による、公社債全般の(唯一の)バイブル。公社債の種類や市場の仕組みについての情報が十分網羅されています。しかも、分かりやすくまとめられています。ちなみに、さすが日経、なのかはよくわかりませんが、下記にあげた日本証券史なども含め、証券系の分野では日経文庫がかなり役立ちます。
    • デリバティブズ―その活用とリスク管理(モバイルリンクはこちら
      • デリバティブズ、という名前がついていますが、基本的に金先に重点が置かれています。ちょっと古い本ですが、金先取引の仕組みについての専門書というのは実はなかったりするので、金先のバイブルとして、意外と重宝する本です。ちなみに、この本を読んでいると、デリバティブの基本は、オプションでもなく、スワップでもなく、やはり先物だなぁということをしみじみ思ったりもします。
    • 最新 レポ取引のすべて―入門実践金融(モバイルリンクはこちら
      • 日本のレポ取引はちょっと特殊(だった)、という歴史的背景の中で、実務者向けの唯一の教科書的存在。短期金融の中では、無担保コールなどの取引が理解しやすい一方で、債券がらみの取引は話がややこしい。でも、この本の分かりやすい解説を読めば、そういうややこしさにひっかからずにレポや現先を理解することができると思います。
    • 銀行経理の実務 第9版(モバイルリンクはこちら
      • 常に最新版がちゃんと出てくるという、非常に親切な本。ついに第9版まで到達です。銀行経理はとても複雑ですが、それを体系的に解説してくれている唯一の本であり、銀行経理に何らかの形で携わる人であれば、持っていると色々と役に立ちます。価格が高いのが唯一の難点。
    • ビジュアルde入門 時価・減損会計がわかる(モバイルリンクはこちら
      • ビジュアルがあるので、とても分かりやすいです。今さら時価会計、というところはあるかもしれませんが、過去からどう変わってきたのかを知りたいという人にはとても向いている本だと思います。
    • 第6版 投資家のための金融マーケット予測ハンドブック(モバイルリンクはこちら
      • ディーラーの人たちが、どのような指標をみながら、どのように市場全体を眺めているのかが垣間見れる本。様々な経済指標が一体何によって動かされているのかについて詳しく書いてあり、国内外のお金とモノの流れを網羅して知ることができる唯一の本だと思います。一時は絶版がうわさされたものの、見事にそれを裏切って改訂を重ねてきており、ディーラーの人々の中でも安定した人気がある本とのことです。
    • 日本国債(モバイルリンクはこちら
      • 話の筋は完全にフィクションですが、日本国債の取引現場がディテールまで説明されており、現場感を知るのに役に立つと思います。また、マーケットの持つ矛盾やジレンマがひしひしと伝わってきて、国債に限ったことではなく、考えさせられることが多い本です。
  • 金融の歴史の基礎
    • 小説 日本興業銀行(モバイルリンクはこちら
      • この本は、参考書としてではなく、小説として読む場合には賛否両論あると思います。戦後復興に対して色々な思いがある人たちにとっては、受け入れがたい面があるのは事実なのだと思います。ただ、戦後復興の中での金融の役割を知らない人たちにとっては、それを知る良い参考書だと思います。間接金融とは何か、それを突き詰めて考えたときに、日本の未来が見えるような気もするのです。(ちなみにこの本は、文庫本5部にわたる超大作です。)
    • 日本証券史(モバイルリンクはこちら
      • 特に2と3がおすすめ。上記の本とあわせて読むと、日本の戦後復興期の金融についてはほぼ網羅できると思います。ただ単に直接金融の歴史を知るだけでなく、現在ある商品を深く理解するのにも役立ちます。それにしても、上記の本に出ている間接金融と比較して、日本の直接金融というのは、何だかとても暗い道であったように思います。でもその分、今後は挽回のチャンスが必ずあるのではないかと思わずにはいられません。
    • 証券化の基礎と応用(モバイルリンクはこちら
      • 直接金融といえば、今や証券化の話もはずせないと思いますが、その証券化の歴史を踏まえて、証券化は誰にとってどう役立つのか、についてきちんと丁寧に書いてある本です。テクニカルな話は少なく、歴史と活用事例で説明されているので、分かりやすいと思います。最近のサブプライムローン問題で、ある意味主役(悪役)ともいえるファニーメイなどが一体何かを知るのにも良い本だと思います。